ホスピタリティを大事にする介護施設が増加中

寄り添った介護を重視する施設が増加

近年、思いやりの心を重視する介護施設が増えています。例えば、自宅にいるかのようにリラックスできる生活環境を目標とした介護プランの計画や、利用者の生活リズムや趣向に応じた介護プランの計画など、取り組みは多岐に渡ります。入浴や食事に関しても、ただ身体を清潔にしたり食事を摂ることを目的とせず、利用者が満足感を持って生活を送れるような工夫がされています。食事は飲み込みやすさや柔らかさが重視されますが、それに加えて見た目や味にもこだわることで日々の生活が楽しくなります。個々の趣向や要望は異なるため、それぞれの個性を活かしたアクティビティを取り入れることも必要です。既存のレクリエーションだけでなく、ヨガや日本の伝統文化を取り入れるなどして、利用者の生きがいを形成していきます。

思いやりのある介護のために必要なこと

思いやりの心を持った介護を提供するために、現場の職員が意識すべきことは何でしょうか。「何が最良の介護なのか」を判断するのは非常に難しいものです。例えば、「自宅では自力で入浴しているが、施設に来た時は入浴時のお世話を全て職員に任せたい」と考えている利用者がいるとします。本来、「できないことは手伝い、できることは自力でやってもらう」が介護の基本的な考え方ですが、それが利用者のニーズとはズレている可能性があるのです。
また、職員は複数の利用者の対応を同時に行います。そのため、個々の要望を全て叶えることは難しいでしょう。対応人数が減ればその分個々の利用者に接する時間が増え、細かい要望を叶えることができます。給料が上がればモチベーションも上がりますが、何より人手が求められているのが介護現場の実情です。一人ひとりと向き合う時間が長ければ長いほど、利用者の思いを汲み取った介護が提供できるのです。また、ケアマネージャーとの連携も必須です。ケアマネージャーが現場の状況を把握していなければ、適切な介護サービスは提供できません。

まとめ

何が最良の介護なのか、どこまで利用者に寄り添った介護ができるのかは、それぞれで考え方が異なります。しかし、人手が多ければその分やれることが多くなるのは明確です。余裕を持って対応できるため、リスク低減にもつながるでしょう。利用者にとっても介護者にとっても理想的な介護とは、利用者の気持ちを理解して先回りした気遣いができることです。そのためには、思いやりの心やホスピタリティを磨かなければなりません。